老子小話 VOL 880 (2017.09.23配信)

誕生から分解に至るまでの時間のなんと

短いかを考え、誕生以前の無限と分解以後の

永遠に思いを至らすがよい。

(マルクス・アウレーリウス、「自省録」)

 

今回は、ローマ皇帝であり哲学者だった、

アウレーリウスの「自省録」よりお届けします。

次から次と湧いて出てくる悩みの種は、

あなたの主観が生み出すものという。

思考のスケールを永遠の宇宙に広げれば、

悩んでいることが馬鹿らしくなる。

自分がこの世に誕生し、死んで肉体が分解するまで

の時間は、宇宙の歴史に比べれば余りに短い。

自分が生まれる前に、アメーバから人間までの

生命の進化があり、死んだ後には、地球の死、

宇宙の死までの未来が待っている。

無限の時間の中の一瞬が自分に与えられた時間と

考えると、そこでの思い煩いは大して意味はない。

悩んで人生暗くするより、宇宙スケールに思いを

広げると、一瞬一瞬を前向きに生きようと姿勢が

変わってくる。

人間が動物と違うのは、心を自分で制御できる

ところといえます。

荘子の逍遙遊篇には、何万里も飛ぶ大鳥とそれを

馬鹿にする小鳩の話が出てきます。

スケールの大きい考えは、目先の考えをする人には

理解できません。

少子化の問題も、政治家や官僚が、目先の問題に

目を奪われ、後回しにしてきた結果です。

今頃になって、教育の無償化や子育て支援の政策

を検討する始末です。

50年先を見据えて手を打たないと、国は衰退します。

自分が生きている間にできることは限られています。

世代間のバトンタッチを前提に、未来の日本のために

何を少しずつ準備しなければならないのか、もう少し

真剣に考えようと、アウレーリウスは語りかけます。

 

有無相生

 

 

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