老子小話 VOL 878 (2017.09.09配信)

上善若水。水善利万物、而不争。

(老子、第八章)

 

上善は水の若し。

水は万物を善く利して、而も争わず。

 

今回は老子の言葉です。

上善如水というお酒の名前にもなっているので、

この言葉を聞いた方も多いかもしれません。

水のような生き方は最高の生き方であるといいます。

万物の生長を助けるけれど、競争することなく、

低い場所にとどまっている。

裏方に徹するという生き方です。

自分の体を見ても、水が60%を占めています。

水は体温調節に欠かせません。

暑ければ、汗となって蒸発し体を冷やしてくれる。

水は血液として体中をめぐり、細胞に酸素を供給し、

老廃物を腎臓まで運搬する。

水が不足して血液がどろどろになると、心筋梗塞や

脳梗塞を引き起こす。

こんな大切な役割を果たす水ですが、私たちは

その恩恵に気がつかずに生きている。

上記の病気や熱中症になって始めて、水の恩恵に

に気づく。

水は無形でどんな所でもしみ込んでいく。

息苦しい環境でも、すき間から環境になじみ、

目立たぬよう環境を支えていく。

また、水は蒸発して雲となり天から雨を降らし、

地上の生命を育む。

こんな素晴らしい働きにならうことを説いた老子に

あらためて感心します。

水を粗末にするとひどい目にあう。

水が環境汚染すれば、生態系すべてに被害を及ぼす。

水俣病しかり、原発の汚染水しかり。

国家でも会社でもそうですが、無言で底辺を支える

裏方としての人間を大事にしないと、組織はいずれ

崩壊していくのは、水の教えるところです。

 

有無相生

 

 

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