老子小話 VOL 876 (2017.08.26配信)

善攻者、敵不知其所守。

善守者、敵不知其所攻。

微乎微乎、至於無形。

(孫子、虚実篇第六)

 

善く攻める者、敵其の守る所を知らず。

善く守る者、敵其の攻める所を知らず。

微なるかな微なるかな、無形に至る。

 

今回は孫子の言葉です。

「攻撃のうまい人は、敵は守るべき所を知らず、

守備のうまい人は敵は攻めるべき所を知らない。

微妙、微妙、最高は無形である。」

アメーバのように、どこが急所だかわからないと

攻めようがない。

ゲリラのように陣形がないと、どこから攻めて

くるかわからず、守りの負担が大きい。

このように形が決まらないと対策がとれない。

今対策のうちようがない国といえば、北朝鮮です。

核兵器開発を誰も止められません。

イラクのフセイン大統領は核兵器を持たずに攻撃され、

北朝鮮は核兵器を増やしても攻撃されません。

この違いは何にあるのでしょうか。

無形の戦略が活きている証拠です。

核兵器やミサイル開発の資金源を抑えようと世界が

協力して努力していますが、あまり効き目がない。

中国やロシアを介して資金はいくらでも調達できる。

日本にも資金ルートはあるでしょう。

EUでも北朝鮮労働者が働き、本国に資金を送っている

ことが、最近の新聞に出ていました。

北朝鮮による拉致問題は、核の問題で影が薄くなりかけて

いますが、今後も起こりうる問題として忘れてはいけない

問題だと思います。

新兵器開発には最新技術を取り入れる必要があり、

その技術者を拉致し、部品調達や極秘情報を盗むため、

工作員は世界中に派遣されていると考えてよいでしょう。

アメーバの触手は身近に来ていると覚悟が必要です。

手嶋龍一氏の「宰相のインテリジェンス」には、何故、

北朝鮮がイラクと異なりテロ支援国家リストから外され、

核兵器開発を続けることができるのかが書かれています。

アメリカが北朝鮮の無形戦略を甘く見ていたのが原因です。

経済支援というアメと核開発放棄というムチを使って、

押さえ込もうとしましたが、アメだけ奪われて今日がある。

日本もアメだけ奪われて、拉致問題すら解決を見ない。

アメーバを退治するには、中国やロシアという抜け道を

どのように押さえ込むかが鍵になりますが、両国とも

朝鮮戦争以来北朝鮮を支援してきているので、解決は

かなり先のことになるでしょう。

孫子の言葉は、現代の政治問題を的確に語っているようです。

 

有無相生

 

 

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