老子小話 VOL 875 (2017.08.19配信)

一旦踏み出した道について頑張る人は沢山ある。

目標についてそうする人はほんのわずかだ。

(ニーチェ、「人間的な、あまりに人間的な」)

 

今回はドイツの哲学者ニーチェの言葉です。

「目標と道」と題して、奥深い真理を述べます。

初心(目標)をもって踏み出し、道を頑張って

歩み続けます。

歩むうちに本来の目標を見失って、歩み続ける

ことが目標になってしまいます。

目標を変えずに歩み続ける人はほとんどいない。

とニーチェは語ります。

たとえるなら、登るべき山を決めて、その頂上を

目指して道を歩き始めるが、次第に山のほうを忘れ、

登り続けることが目標になっていく。

あるときふっと自分は何を目指して登っていたのか、

はっとする。

生きることは歩き続けることなので、目標を忘れても

歩き続けることが優先します。

人生には予期せぬ事態が生じ、道はひとりでに目標から

それていく。

殆どの人がこちらに入ります。

わずかな人が一度出発点(原点)に戻り目標を確認し、

歩むべき道を修正し、目標を見失わずに頑張ります。

老子も原点回帰をすすめます。

人間は自然から生まれ、自然に帰っていく。

自然の大切さを振り返り、自然に潜む気の流れに学ぶ。

歳をとってくると、自分を形作っていた陰と陽の気が

ふわっと分離するような一瞬を感じるようになります。

幽体離脱というか、生のこだわりが抜ける一瞬がある。

そもそも自分の生の前に自分の死があったと考えれば、

死のこだわりが抜ける一瞬でもあります。

老子の道こそ、ニーチェのいう「変わらない目標」に

向け頑張ることになるようです。

わたしがメルマガを始めたのが2000年なので、17年間

休まず発行を続けられたのは、老子の道を探るという

目標を変えなかったせいかもしれません。

また、それを読み続ける読者の皆様のお陰でもあるのは

言うまでもありません。

 

有無相生

 

 

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