老子小話 VOL 871 (2017.07.22配信)

不曰如之何。如之何者。

吾末如之何也已矣。

(「論語」、衛霊公第十五)

 

如之何(いかん)、如之何といわざる者は、

吾れ、如之何ともすることなきのみ。

 

今回は、論語から選びました。

如之何は、「どうしよう」と考え込むこと。

「どうしよう、どうしようと言わない者は、

どうしようもない」

「どうしよう」と言う人は、常に疑問を抱き、

問題意識を持っている人を言います。

問題意識を持っていれば、まだ手当てはあるが、

問題意識のない人はどうしようもない。

日銀のデフレ対策を遂行する日銀総裁がその人に

あたるようです。

デフレを抑えるには、日銀が赤字国債を買い支え、

市場にお金をばらまき貨幣価値を下げ、物価上昇に

つなげる策があります。

日銀はその効果を狙います。

赤字国債を増やすことは、将来の福祉に対する国民

の不安をあおり倹約と貯金に向けるので、企業は

値上げをためらい、デフレに進みます。

つまり、デフレ対策がデフレ進行に働くという矛盾

を引き起こしています。

政府は企業に賃金を上げろと働きかけます。

国民の財布に余裕ができれば、購買力が増し、

企業は値上げで国民のお金を回収できます。

賃上げはデフレ対策の一つになるはずでした。

お金が市場を回ることで経済が活性化する

シナリオです。

しかしながら、日銀がばらまいたお金は企業と

銀行に滞り、国民の手に届かず、物価は上昇に

至っておりません。

企業はお金を社員に還元せず、将来への投資に

振り向けます。

結論、政府と日銀の策は未だに効果が出ていない。

効果を出すには時間がかかるといって時間稼ぎを

してきましたが、もう無策に気づいてもよい頃です。

無策というのは、現対策に満足し問題意識を持たない

ことを意味します。

「どうしよう」と現状に疑問を抱くのは、現状を

人任せではなく自分の問題として捉えることです。

赤字国債を自分の借金だと考えれば、自分の信用度

を高めるには、借金をまずゼロにすることを考えます。

政府も日銀も、国の借金だから国民の貯蓄が赤字を

まかなっている限り安泰と他人をあてにしています。

税金を強制的に徴収でき、銀行券を自由に発行できる

立場にいると、国の借金は他人事となります。

何事も自分の問題として考えてみると、現状の問題が

見えてくるはずです。

今突然ガン宣告を受けたら、どのように動くか。

ガンを克服するためにやるべきこと、克服できなかった

場合を想定して、どのように終末を遂げるか、などを

考えると、自分の生に無頓着だった自分が見えてきます。

 

有無相生

 

 

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