老子小話 VOL 869 (2017.07.08配信)

奢者富而不足。

何如倹者貧而有餘。

(菜根譚)

 

奢(おご)る者は富みて而(しか)も足らず。

何ぞ倹なる者の貧しきに而も余りあるを如かん。

 

今回は菜根譚からお言葉です。

「贅沢な人はいくら富裕であっても常に足りず、

倹約家は、いくら貧乏でも常に余裕がある。」

収入と支出の関係をこれほど明確に述べた

言葉はありません。

いくら収入があっても、支出が多いと

生活に余裕はなくなる。

反対に収入が少なくても、支出を削れば

生活に余裕は出てくる。

最悪のは、貧しいのに倹約をしない人で、

誰かの収入を当てにする場合です。

上の言葉には続きがあって、知恵のある者は

一生懸命努力して、他人の恨みを買い、

知恵のない者は野望がないので、気楽で天性の

自然を保つという。

収入と知恵をインプット(入力)、支出と仕事を

アウトプット(出力)と考えることができる。

菜根譚は、入力と出力の関係のバランスを述べて

いるようです。

入力が大きければ、出力も大きくなる。

入力が小さければ、出力も小さくなる。

これが自然の法則で、後者の方が体や心に無理がない。

食べ過ぎて摂取エネルギーが多くなれば、

痩せるためにする運動量も増えてくる。

ダイエットに無理が働くことになる。

小食の人は、運動量が少なくても体型を維持できる。

人生において大事なのは、入力が大きくても少なくても

出力を調節して、いつでも出力できる心の余裕を持つこと

です。

入力するだけで出力しないと、溜め込んだ結果身動きできず、

出力するだけで入力しないと、出力の糧が枯渇する。

まさに入力と出力の関係のバランスが大事になる。

身軽にするには、収入を少なく支出を少なくするか、

入力を少なく出力を少なくするのが、自然に適うという。

これからの経済原理が、入出力のバランスだとすると、

菜根譚にそれが現れているようです。

大もうけも大損も避けるべきで、ほどほどに生活できれば

よしとするバランス感覚が求められます。

 

有無相生

 

 

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