老子小話 VOL 866 (2017.06.17配信)

如不善而莫之違也、

不幾乎一言而喪邦乎。

(論語、子路第十三)

 

(も)し不善にして之に違う莫なくんば、

一言にして邦を喪(ほろ)ぼすに幾(ちか)からずや。

 

今回は孔子の言葉です。

「もし善くないことでもこれに逆らう者が

ないならば、一言で国を滅ぼすことに近い

のではないか。」

当たり前のことですが、孔子の時代から2600年も

経った今でも同じことが起こっている。

不正会計を会社トップに内部告発しても、

無視され、後に多額の損失が明るみになり、

会社としての信用を失う。

いくら上司の指示とはいえ善くない事はよくない

と立ち上がる勇気を持てと孔子はいう。

それが国を滅ぼすことに近いから。

しかし現実は、逆らう者が処分される。

TVドラマにあるように会社トップや官僚トップは

組織の現状維持を優先し、不善に目をつぶる。

アメリカでは大統領の疑惑を捜査するFBI長官が解任される。

自分に非がないと思うなら、堂々と捜査をさせるはずです。

日本では共謀罪法案が十分な審議なくどさくさで可決・成立。

オリンピックに向けテロに対する法整備を急ぐ気持ちも

わかりますが、数の論理で押し通すのは不善です。

共謀罪といえば戦前の治安維持法を思い出し、大逆事件で

思想弾圧に使われた歴史があります。

法律はテロ防止目的で作られても、適用する側の解釈で、

適用範囲が広がるおそれがあります。

自衛隊の憲法9条解釈がその例で、自衛隊は国防のための

軍隊ですが、自衛戦争目的なら軍隊を持てると解釈しています。

さらにその軍隊を集団的自衛権の行使にも使えると解釈します。

共謀罪は、国家が暴走したとき、不善に逆らう者を抹殺する

武器に変容します。

オリンピックに向け慌てて成立させる法律ではないことは

明らかです。

孔子の心配が今後的中することがないように願う限りです。

 

有無相生

 

 

 

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