◆老子小話 VOL
861 (2017.05.13配信)
かつてあったことは、これからもあり
かつて起こったことは、これからも起こる。
太陽の下、新しいものはひとつもない。
(旧約聖書、コヘレトの言葉)
歴史は繰り返す。
聖書の時代から人々が学んだことです。
戦争の悲惨さを歴史から学んだかというと
そうではない。
学んだことは、戦争は繰り返されることだった。
禁酒法時代には、警官が犯罪組織から金をもらい、
麻薬や酒の取り引きに目をつむった。
「アンタッチャブル」の映画でもその場面があった。
直近では、「小さな巨人」の捜査一課長がそれである。
もっとリアルでは、広島警察署内で押収した一億に近い
現金が盗まれるという事件があった。
内部犯行かはまだわからないが、少なくとも保管情報を
流した警官がいたことは間違いない。
あっちゃいけないことが聖書の昔から起こっており、
誰も止めることができないと聖書は教える。
自然の世界では、大地震や火山噴火、津波や台風と
災害が繰り返されるのが当たり前。
人間ができるのは、予知と避難だけである。
一方人間の世界でも、理性と欲望のはざまで行動を
選択するので、所詮心の弱い人間は欲望に負けて
同じ過ちを繰り返す。
所詮警官も人間ですというのは、犯罪者の言い訳となる。
警察署内にも監視カメラを置くというのはおかしな考え
とは思われない。
過ちを防ぐために、昔の支配者は法と刑罰を作った。
法を犯せば罰を受けねばならないから思いとどまる。
今もその体制は変わらないが、犯罪はなくならない。
人間は、自分だけは捕まらないという楽観を抱いている。
捕まるまで犯罪を繰り返す習性を持っている。
文科省の天下りも露見するまで続けられた。
他省でも同様の天下りはあると思われるが、自浄力は
弱い。天下りは官僚組織の財産だからである。
権力を利用して財を為す習性も、古代中国の官僚と
変わらない。
聖書の言葉は、人間の弱さと楽観主義を暗に指摘して
いるようで面白い。
この人間の特徴は、前向きの生き方に通じる。
所詮自分は弱いと犯した過ちにくよくよせず、
過ちを乗りこえて、明るい未来を目指す。
最悪は、同じ過ちをまた繰り返す場合。
次善は、1回の過ちで刑に服し出直す場合。
聖書は、最悪の道をたどるのが常と教えてくれる。
有無相生