◆老子小話 VOL
857 (2017.04.15配信)
延促由於一念、寛窄係之寸心。
故機閒者、一日遥於千古、
意広者、斗室寛若両閒。
(菜根譚)
延促は一念に由り、寛窄は之を寸心に係く。
故に機の閒なる者は、一日も千古より遥かに、
意の広き者は、斗室寛きこと両閒の若し。
今回は、菜根譚よりお届けします。
一年がものすごく速く過ぎていくのを日頃
感じるひとも多いことでしょう。
私もその一人です。
どうしてか、友人と議論したことがあります。
一日の生活が単調で、区別のつかない時間が
積み重なるためという人がいます。
でも、定年後の単調な生活は、時間を長く
感じさせるという人もいます。
毎日が忙しくスケジュールに追われるため、
時間の経過が速く感じられるという人もいます。
菜根譚は、
「時間の長短はその人の一念によるもので、
空間の広狭もその人の心によっている。
心をゆったり構える人は、一日は千年より長く、
心の広い人は狭い部屋も天地の間のように広い。」
といいます。
時空の感覚は、心の持ちようで変わる。
いくら忙しくても、その中に常に新しい発見や
創造があれば、その時空は無限の広がりを見せる。
新しい発見や創造を見出す心のゆとりこそが、
時空の物差しを引き延ばしてくれる。
時間の経過が速いと感じるのは、忙しさでも単調さ
のためでもなく、心があせるためだと気づかせる
言葉でした。
茶室の狭い空間から心を宇宙に羽ばたかせるのは、
新たな出会いを感じる心のゆとりと思われます。
有無相生