老子小話 VOL 856 (2017.04.08配信)

人が生まれたときには、

実に口の中には斧が生じている。

愚者は悪口を言って、

その斧によって

自分を斬り割くのである。

(ブッダのことば、スッタニパータ)

 

今回は、「ブッダのことば」をお届けします。

ひとことでいうと、「口はわざわいのもと」。

でもブッダさんは、具体的にわざわいのもとは

口の中の斧と言っています。

それも生まれながら、斧が生えている。

その斧は、口を動かせば、多少なりとも

口の中を傷つける。

言葉を吐くことは、自分を傷つける原因になる。

すばやく口を動かせば、斧の刃は鋭く食い込む。

ゆっくり動かせば、刃はゆるやかに皮膚をなめる。

従って、落ち着いて穏やかにしゃべる方が、

傷の程度は浅くなる。

おまけに、口から出た言葉が悪口なら、

その言葉はめぐりめぐって、自分に跳ね返ってくる。

悪口は、他人に対しふりかざす斧と同じである。

自分の口におさめて自省しておけばいいものを、

外に出してふりかざすのは身の程を知らぬ行為である。

言葉にすることは、悪口でなくても自分を傷つける。

言った後に、言ってよかったかなといつも反省する。

従って、言葉を選んでゆっくりと言葉に出す。

その言葉が斧に変わったら、自分に跳ね返ると覚悟する。

社会生活をする以上、言葉を口から出さなくてはならず、

出せば、多少なりとも血は流れます。

というわけで、ブッダの「口に生える斧」のたとえは、

誰もが心に留めなくてはいけない教えとなります。

 

有無相生

 

 

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