◆老子小話 VOL
852 (2017.03.11配信)
いわずに おれなくなる
ことばでしか いえないからだ
いわずに おれなくなる
ことばでは いいきれないからだ
いわずに おれなくなる
ひとりでは 生きられないからだ
いわずに おれなくなる
ひとりでしか 生きられないからだ
(まどみちお、「いわずにおれなくなる」)
今日は、東日本大震災から6年目の日です。
東北の復興はある程度進みましたが、
福島第一原発事故の影響は未だに重く
心身にのしかかります。
悲しむべきは、原発避難された方々へのいじめです。
そもそも、自分が同じ境遇にあっていれば、
それが心をどんなに苦しめるかわかるはずです。
物質的な復興だけでなく、精神的な復興に国はもっと
力を注ぐべきだと思われます。
原発事故の恐ろしさを日本より海外の方が深く学び、
恐ろしさを知らぬ東芝が経営危機に陥った。
恐ろしさを知らぬ政府は原発技術の輸出を模索する。
恐ろしさを知らぬ人間が他人事で考える。
日本は原発事故の意味をまだ学んでいない。
まどみちおさんの言葉は、いうことの大切さを
語っています。
ひとの心と心をつなぐものは言葉しかない。
言葉で心をすべて言い表せない。
でも言葉にすることでいやされる。
言葉で動かされる心が自分を救ってくれる。
言葉で動かされる心が相手を救うかもしれぬ。
最終的には自分の力でしか生きれらないが、
生きているのは他人の力のおかげである。
そういった当たり前のことを「いうこと」
によって、再確認する。
いじめの言葉は、おのれの生のありがたさを
知らない人間の口から吐かれる。
まどさんの詩は、そう語っているように思える。
有無相生