◆老子小話 VOL
850 (2017.02.25配信)
人上寿百歳。中寿八十。下寿六十。
除病痩死喪憂患、其中開口而笑者、
一月之中、不過四五日而已矣。
(荘子、盗跖篇第二十九)
上寿は百歳、中寿は八十歳、下寿は六十歳。
病痩死喪憂患を除けば、寿命のうち、
口を開けて笑って暮らせるのは、
月に四五日に過ぎない。
荘子に出てくる大泥棒の言葉である。
2000年前の言葉とは思えない。
まずは、「人間の寿命は、最高で百歳、
中ほどで八十歳、短くて六十歳。」
男性の平均寿命が八十超で、百に届けば大往生。
六十前後で亡くなれば、早く逝ったと言われる。
今も昔も寿命の相場は変わらないことに驚く。
病痩は病気、死喪は肉親の死、憂患は心配事。
それらの期間を除けば、口を開けて笑えるのは、
30日のうちで1割超である。
つかのまの人生で心の満足を得られずに死んでいく
のはもったいないという問題提起です。
そして、「小人は財に殉じ、君子は名に殉ず。」が続く。
今でいうなら、国民は財テクに走り、官僚は
天下りに走り、命を終えるということか。
そのどちらも、なすべきことを棄てて、なすべきで
ないことに身を犠牲にする点で同じと荘子はいう。
こちらも思わず苦笑する。
ではどのように生きるべきか?
身のうちから自然に出てくるものに従いなさい。
自分の生き方は人から教わるものではない。
教科書で学べるものでもない。
自分の意のままに自然に振舞えばよい。
気の抜けた結論だが、昔の人も我々と同じ悩みを
抱えたことがわかる荘子の言葉でした。
有無相生