老子小話 VOL 842 (2016.12.31配信)

萬物並作、吾以観復。

夫物芸芸、各復帰其根。

(老子、第16章)

 

萬物並びおこるも、吾は以て復るを観る。

それ物のうんうんたる、各々其の根に復帰す。

 

大晦日に今年最後の言葉を届けできる喜びを

かみ締め、老子の言葉で今年を締めくくりましょう。

我が家の庭には木蓮の木があります。

葉をすべて落とした枝には、すでに綿毛に包まれた新芽

を見ることができます。

真夏に浴びた光を葉に受け養分を蓄え、来春の開花の

準備をする。

花が散れば若葉を生やし、枝を伸ばす養分を作る。

この生命の周期を永遠に繰り返す。

芸芸(うんうん)というのは、草木が生い茂るさまをいい、

その生の源には、自然の恵みを漏らさず大切にし、

最小限のエネルギーで生命を維持する仕組みが働く。

この仕組みを人間も見習った方がよいというのが

今年の反省です。

原子力への期待を棄て切れない政府への警鐘です。

福島原発の事故の収拾費用も結局血税でまかなう

羽目になりました。

更に廃炉費をソラーなどの新電力にも負担させる

おかしな結論まで出ました。

「もんじゅ」の廃炉にも3750億の巨額が必要になります。

今や原発技術を海外に輸出し、原発メーカーを救う措置

まで採られる始末です。

太陽光や風や地熱のエネルギーは自然の恵みで、それを

電気エネルギーや燃料生成に利用するのが、万物の根幹

と老子は考えます。

万物が持続可能な生命維持を行えるのは、その根幹に

回帰しているためだと考えます。

東芝が原発事業で大赤字を出したのは、原発の輸出先で

事故があれば賠償責任を負わされるためといわれます。

原発メーカーが責任を負えなければ、それを後押しした

政府が東電同様に国民の血税を使うのでしょうか?

福島原発事故の収拾費用の莫大さを海外が注目するのは

当然です。

政府は本腰を入れて、ポスト原発に取り組むべきと

いうのが、老子の言葉が教える所です。

 

本年もご愛読いただき、どうもありがとうございます。

よいお年をお迎えください。

 

有無相生

 

 

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