老子小話 VOL 840 (2016.12.17配信)

苦心中、常得悦心之趣。

得意時、便生失意之悲。

(菜根譚)

 

苦心のうちに、常に心を悦ばしむるの趣を得。

得意の時にすなわち失意の悲しみを生ず。

 

久々の菜根譚です。

「苦心しているうちに心を喜ばすときがある。

反対に、望みを遂げ得意になっているときに、

ままならぬ悲しみが生じてくる。」

人生思い通りにいかないことの連続です。

それでもいろいろ苦心している最中に、

頭を働かして何とかうまく切り抜けようとする。

その創意工夫のプロセスが後で考えると、

自分のためになり喜びを与えてくれる。

反対に得意のときは現状維持を目指し、

今までのやり方を変えないので、問題発見が遅れる。

安倍内閣の成長戦略は、企業が労働者に支払う

給料のアップにかかっている。

賃金が上れば労働者の消費が増え、企業の収益も

増え、デフレは解消するというシナリオである。

ところが、給料アップは安倍内閣から企業への

お願いに過ぎず、企業の良心にまかさされる。

しかし、企業は内部留保を行い賃金は上らない。

これが成長戦略の敗因の一つになっている。

得意のときこそ、思い切った政策が必要になる。

一方、労働者は低賃金ほど、消費を減らし、

どのようなものにお金をかけるべきか真剣に悩む。

あの中国観光客でさえ、爆買いはおさまり、

体験型の旅行にシフトしている。

少子高齢化社会では、モノへのこだわりより、

コトへのこだわりが増してくる。

身軽に動き、いろんなコトを体験したくなる。

そういう状況変化に政策がどれだけ対応できるかが

日本の未来を決めると思われる。

菜根譚の言葉から、こんな風に思いが膨らみました。

 

有無相生

 

 

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