老子小話 VOL 827 (2016.09.17配信)

吹くだけでは笛吹くことにはならない。

君たちは指を動かさねばならい。

(ゲーテ)

 

ドイツの文豪ゲーテの言葉を集めた、

「ゲーテ格言集」(新潮文庫)より

言葉を拾いました。

といっても、この言葉は民間のことわざ

だそうです。

幼児に笛を渡しても、息を吹き込むだけで、

音楽にはなりません。

自分で指を動かすことで音階が生まれ、

初めて笛を吹くことになります。

幼児の事始めは、我々大人にも当てはまります。

たとえて言うなら、吹いているのはああだこうだ

批評や批判をしている状態のこと。

指を動かすのは、自分なりの創意工夫をして、

体を動かして、真理を明らかにしていくこと。

民進党代表に蓮舫女史が決まり、都政同様、

女性が独自の視点で政治を見直す機運が高まります。

批判から提案・創造に姿勢を転換する心がけは、

吹きっぱなしではなく、指を動かして自分なりの

音楽(政策)を奏でるという今回の言葉に通じる

ものがあります。

豊洲新市場の盛り土問題も、小池都知事に代わって

いなければ、闇に葬られた問題です。

そもそもこれまでの都知事は何をやっていたのか、

疑問も湧いてきます。

なし崩し的に移転し、あとで問題が浮上するより、

移転前に土壌汚染への対応策を都民に説明し、結果を

公開するのがあるべき姿といえます。

これまでの知事の無責任さには唖然とするばかりです。

権益やしがらみと一線を画す、女性政治家の活躍に

期待する限りです。

とかく政治家は、これやるあれやると目立つ政策を

言うだけで、体を動かしてその実行を貫徹する人間が

少ないようです。前都知事はその代表でした。

女性には公平な立場で冷徹に物事を処していく面が

あります。

国民目線で、消費者目線でその欲するところをよく

認識できるので、説明責任や情報公開には細心の

配慮がなされます。

指を動かすにしても、男性都知事のように上から目線で

力づくでやるのではなく、都民の目線でプロセスを大事

にする視点は、これからの行政には欠かせないものだと

思います。

ゲーテの言葉は、政治家や官僚に向けた警句でもあり、

行動は発言に優るという人生訓に見えてきます。

 

有無相生

 

 

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