老子小話 VOL 819 (2016.07.23配信)

反己者、触事皆成薬石。

尤人者、動念即是戈矛。

(菜根譚)

 

己を省みる者は、

事に触れて皆薬石となり、

人をとがむる者は、

念を動かせば即ち是戈矛(かぼう)なり。

 

今回は、菜根譚からお届けします。

「自己を反省する者は、

何事に触れても皆良薬になるが、

ひとの過ちをとがめる者は、

心を動かすたびに自分を傷つける矛になる。」

自分に厳しく他人に優しくという教えですが、

周りを見渡せば、守るのは難しい教えです。

自分というのは普段は自分の視点で物事を

判断し評価します。

他者に対する評価が悪ければ、その人をとがめ、

被害を受けないように心を悩ませ、そのような

態度がますます自分の評価を下げることになる。

他方、自分を反省するとは、他者の視点で自分を

見つめなおすことです。

そして自分を再評価し、行いを改めることです。

そういう態度が、何事も冷静に客観的に判断できる

人として、自分の評価を上げることになる。

他者の視点で自分を見るためには、常に鏡を備える

ことが必要です。

鏡に自分勝手な自分の姿が見えれば、そんな姿を

他人が見てどのように思うのかがわかります。

社会に対する不平不満は、本メルマガでもしばしば

吐露しますが、自分を差し置いて批判するのは、

自分勝手な姿です。

自分もその社会の一員として見るなら、その批判は

当然に自分に帰ってくる。

政治を批判する有権者のようなものです。

不平不満の解決のために自分は何ができるのかを

考えるのが、反省ということなのでしょう。

不平不満を良薬にするか、自分への矛にするのか、

決めるのが、鏡の役割です。

自分にとっての鏡って誰なの?あるいは何なの?を

考えてみませんか。

 

有無相生

 

 

戻る