◆老子小話 VOL
813 (2016.06.11配信)
濡需なる者は豕の蝨是なり。
(荘子、徐無鬼篇)
倉橋由美子氏の「シュンポシオン」に出てきた言葉です。
どんな場面で出てきたかは忘れましたが、「豚のしらみ」
にインパクトがあり覚えていました。
濡需なる者とは、束の間の安らぎに浸っている者を
言います。
豚に寄生するしらみは、豚の毛の中、またぐらや
ひづめの間を居心地の良い場所と心得、安住する。
しかし、豚は料理される身である。
豚は屠殺され、薪の上に乗せられ、火がつけられる。
豚の毛の中でぬくぬくと安らいでいたしらみは、
豚と一緒に焼き殺されてしまうお話です。
「此れ域を以って進み、此れ域を以って退く」
「豚のしらみ」は、狭い仕切りの中を右往左往する
人間ということになります。
今の都知事の姿が重なり、思わず苦笑です。
私邸を売り払ったり、給料減額してまでも、
続投の意志は堅いようです。
尻に火がついた状態ですが、都政まで焼き焦がす
のは避けたいところです。
今更傲慢だったと反省するのはおかしいので、
傲慢は最初からありそれが豚の毛の中で増長した
に過ぎません。
都知事の仕事を狭い仕切りの範囲で考えていたから、
海外訪問や美術品収集にうつつを抜かせたのでしょう。
そもそも都知事として業績はまだあげていないので、
ここで辞めると、焼かれたしらみで終わります。
傲慢は政治家につきもので角栄さんや石原さんもそうでした。
都政を率いて何をするのか、今一度真剣に考えてもらい
たいものです。
もう遅いかも知れませんが。
有無相生