老子小話 VOL 811 (2016.05.28配信)

I do not believe that civilization will be

wiped out in a war fought with the atomic bomb.

Perhaps two-thirds of the people of the earth

will be killed.

(Albert Einstein)

 

原爆を使って戦うことで文明が滅びるとは思わない。

高々地球の人口のおよそ3分の2が消えるだけだ。

 

アインシュタイン流の冷静なジョークである。

オバマ米大統領が広島訪問し、核廃絶の意欲を

新たにしたのは歴史的意義があるようだ。

原爆投下の謝罪をするのは無理にしても、

原爆で犠牲になった人々への哀悼と投下の罪への

道義的な反省がうかがわれるスピーチでありました。

Hiroshima and Nagasaki are known not as the dawn of

atomic warfare, but as the start of our own moral

awakening.(広島・長崎は道義的な覚醒の始まりである)

が精一杯のメッセージだったようです。

これに比べると、上のアインシュタインの言葉は厳しい。

核兵器を使うかは政治家の判断で、自国民の死だけでなく

相当数の人類の死を招くと覚悟して下さなければならない。

生き残った人々が核汚染の中で構築する文明がどのような

ものになるか考えるだけで身の毛もよだちます。

アインシュタインの凄さは、核を使っても文明は残るよ、

だけど人類の2/3が消えた後何をするの?と問う所です。

広島・長崎が復興できたのは、原子爆弾の規模が小さかった

ためであり、今の原爆はその1000個分の威力があるので、

2,3個で国が消滅するようです。

核保有国が消えるだけならいいのですが、放射能は気流に

乗って全世界に拡散します。

拡散後の恐ろしさは、原発事故で経験済みです。

そんな使えないもので抑止力を期待するのは、時代錯誤です。

核廃絶は、道義心に訴えるより、使ったときの最悪のシナリオ

に訴えた方が効果的なのは眼に見えています。

自分が被爆の当事者になることを思い浮かべることです。

幸運にも生き残れても放射能からは逃れられません。

アインシュタインの言葉は、その現実を突きつけます。

 

有無相生

 

 

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