◆老子小話 VOL
807 (2016.04.30配信)
生まれを問うことなかれ。
行いを問え。
火は実にあらゆる薪から生じる。
(仏陀、「ブッダの言葉」)
今回は、「ブッダの言葉」よりお届けします。
どのように生まれるかは自分では決められません。
過去の時間が生まれを決めるからです。
従って、生まれを自慢したり、生まれを卑下する
ひとは過去にとらわれているひとです。
ブッダも過去を問題にしてはいけないといいます。
それよりも生まれた後の行いが問題だといいます。
生まれを引きずった生き方をするか、生まれを断ち切った
生き方をするかで、ひとの価値が決まります。
チェ・ゲバラは、アルゼンチンの裕福な家庭に生まれ、
医師になりました。キューバ革命をカストロと一緒に
成功させ、米資本と癒着した独裁政権を倒し、民衆を
救いました。
小笠原登氏は、愛知県のお寺に生まれ、医師になりました。
ハンセン病の研究と臨床に一生を捧げ、ハンセン病患者の
強制隔離に反対しました。
ふたりに関する報道は、キューバと米国の融和と最高裁の
隔離法廷への謝罪の報道から目にしました。
生まれからいえば、そのまま医師として、あるいは住職として
安定な生活が待っていたわけですが、何に生きる価値を見出す
かで、その後の行いは決まりました。
ふたりともその行いで世間から表彰されたわけではありませんが、
その生き方に共鳴するひとは多かったと思います。
ブッダは、生まれを薪にたとえ、どんな薪からも火はおこし得る
といいます。
私はこれまでに大した火は起こせませんでしたが、残された時間
にどのような火を起こそうかと考えるきっかけをブッダから
もらいました。
有無相生