老子小話 VOL 806 (2016.04.23配信)

子曰、過而不改、是謂過矣。

(論語、衛霊公第十五)

 

子曰く、過ちて改めず。

これを過ちという。

 

今回は、論語よりお届けします。

子とは孔子のことです。

人間が人間である所以は、過ちをすることです。

歴史上の過ちは戦争です。

原始時代の食料の取り合いから、近代の核兵器を

用いた大戦の終結まで、人間の歴史は戦争の歴史

といえそうです。

更に悪いことに、人間は知恵をつけてきて、

身近にあるこん棒で敵を叩いていたのが、

弓矢や刀を発明して、より有効に敵を傷つけ、

鉄砲やミサイルの発明により相手に姿を見せずに

敵を倒す術を身につけました。

そして最後は、敵が存在したことすら抹消できる程の

巨大なエネルギーで人類の歴史に終止符を打てる、

核兵器まで発明しました。

孔子の言葉に従えば、戦争の過ちを改めずにいまだに

戦争を続けていることが人類最大の過ちといえそうです。

オバマ大統領が最後のご奉公で広島訪問を計画している

と聞きます。

氏のノーベル平和賞受賞の理由は、核廃絶に貢献したこと

なので、広島訪問は遅すぎた感がありますが、過去の過ち

を過ちとして認め、この過ちを改める意志を示すことが

世界平和の第一歩であるのは間違いありません。

人類の過ちから私個人の過ちに立ち返ると、日々過ちの連続

です。ただ、過ちのあと反省し、過ちを繰り返さないように

しているのですが。

もちろん、過ちを過ちとして認めなければ、改めようがない

わけです。

ですから、言い訳をせずに過ちとして認めることが反省の

出発点です。これは大人でも子供でも同じで、言い訳すると

際限がなくなり、すればするほど反省から遠ざかります。

米国の原爆投下も過ちの意識がないので、歴代大統領の

広島訪問はなく、核兵器開発が継続されました。

「これをやっちゃおしまいだ」という認識に立たないと、

改めようがありません。

自分を見ても、過ちは一気に直りません。

でも直そうとする意志を持ち続けることが改めの原点だと、

孔子の言葉は教えてくれます。

 

有無相生

 

 

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