老子小話 VOL 803 (2016.04.02配信)

愛重反為仇、薄極翻為喜也。

(菜根譚)

 

愛重ければ仇となり、

薄極まりて翻って喜びを

成すなり

 

早くも4月に突入しました。

新入生や新入社員の姿を見かける季節です。

今回は菜根譚より選んでみました。

「かわいい子には旅をさせよ」という言葉が

あります。

手取り足取り深い愛情で新入生を育てると、

却ってダメにしてしまう場合もあるという

教えです。

「愛情が重いとそれが仇となり、

愛情が極めて薄くても、喜ばれる時もある」

相手のためを思ってくどくど教えるより、

自主性が育つように自分で考えさせる場面を

多く作る。

時として、新人は放って置かれたように思い、

自分はかわいがられていないと思い込む。

でも2,3年経ち、周りの状況が見えてくると、

それが愛情だったと知ることになる。

結局は、信頼感が芽生えるように、厳しく

接していても優しさで締めることが教育だ

と思います。

優しさ一辺倒だと規律がおろそかになり

それが心の緩みを招く。

厳しさ一辺倒でも自主性は育たず、上役の眼を

気にする指示待ち人間を生むことになる。

人間関係において、愛情のさじ加減が大事で

それが一番難しい。

こればっかりは、自分がどう育てられたかで、

ごく自然にさじ加減ができるか否か決まってくる。

よき師にめぐり遇えればそれに習い、

遇えなければ、自分で試行錯誤するしかない。

いずれにしても、旅している子をいつも遠くから

見守り、ときたま勇気づけることができれば、

まずは合格かもしれない。

 

有無相生

 

 

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