老子小話 VOL 792 (2016.01.16配信)

If anything can go wrong, it will.

(Murphy’s Law)

 

悪く傾く可能性のあるものは必ずそうなる。

 

今回は、「マーフィの法則」をお届けします。

直近のニュースは、

「廃棄食品の不正転売事件」

「スキーバスの暴走事故」

でしょうか。

最初のニュースでは、ビーフカツの廃棄を委託した

会社は、まさか産廃業者が転売するとは思いませんでした。

しかし、食品でなければ産廃業者が転売するのは当たり前。

再利用させないようにするには、包装に穴を開けるとか、

加熱するとかして、売れない姿にする工夫が必要です。

「マーフィの法則」は、転売される可能性のあるものは

転売されるということを語ります。

二番目のニュースは、まだ原因究明が進んでいないので

何ともいえません。

しかし、大型バスの運転歴のないドライバーが運転したこと、

カーブの多い峠道にルート変更したこと、悪い方向に傾く

可能性が結果的に集積して事故につながったように見えます。

大型車両は重心が高く、カーブでスピードを出しすぎると

慣性力を受け、横転する危険があります。

そういう経験の浅いドライバーにカーブの多い下り坂道を

行かせたことが悲劇の一因でしょう。

色んな原因が多重に積もって事故が起きます。

今までに何回のスキーバスが安全に運行できたかを思うと、

運転歴の浅いドライバーでも申請ルートどおりに運行すれば、

難を免れた可能性もあります。

つまり、何となく得られている安全は幸運の一因で救われて

いるとも言えます。

「マーフィの法則」は、悪く傾く可能性のあるものを事前に

対策しておき、それが重なっても大事故につながらないように

するという心得となります。

悪く傾く可能性ひとつを放置してもすぐに事故は起こりませんが、

放置が続くと可能性は増えていき、ある時点ですべてが重なって

大事故になる。

人間は楽観的です。

放置しても幸運の一因は永続すると思い込むからです。

老子も道徳経第63章に言います。

「天下大事、必作於細。」

天下の大事件も必ずちょっとしたことから生まれる。

ちょっとしたことだから見落としたり手を抜く。

大事件が起きてから、その細の重要さに気づく。

「マーフィの法則」と老子の類似性は、

「ちょっとしたことでも放置すると、今に大事になる」

といえるでしょう。

最後に事故で亡くなられた方々のご冥福を祈ります。

 

有無相生

 

 

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