老子小話 VOL 788 (2015.12.19配信)

魚得水逝 而相忘乎水

鳥乗風飛 而不知有風

(菜根譚)

 

魚は水を得て逝いて

水に相忘れ

鳥は風に乗じて飛んで

風あるを知らず。

 

今年もあと2回を残す所となりました。

今回は、中国の知恵の集大成といってもよい

菜根譚よりお届けします。

魚は水の中を自由に泳ぎ回りますが、

水のあることは忘れています。

鳥は風に乗り空を自由に飛べますが、

風があることを知りません。

どちらもヒレや翼で水や空気を押して、

その反作用で前に進むことができます。

自分が前に進めるのは、周囲の環境のお陰で

あることに気づいていません。

周囲の環境を意識しないからこそ、自由に

動けるのかもしれません。

人間の場合も、自由に前に進めるのは、

社会という周囲の環境を足がかりにして、

その反作用の力を得るおかげです。

社会に対して作用することが、「働く」

ということで、社会からの反作用が、

「生きがい」の力かもしれません。

反作用の力をもらうので、さらに次の一歩を

踏み出せる勇気が湧いてきます。

魚も鳥も、自然環境に作用することを

意識して行っていません。

無意識に作用し、自然から反作用の恩恵

を受けています。

人間も無意識に社会で働き、無意識に

社会より恩恵を得るのが、道の理想だと

菜根譚の言葉は語っているようです。

 

有無相生

 

 

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