老子小話 VOL 771 (2015.08.22配信)

A fool doth think he is wise,

but a wise man knows himself to be a fool.

William Shakespeare, “As You Like It”)

 

今日はシェイクスピアの言葉です。

「愚か者は自分が賢いと考えるが、

賢い者は自分が阿呆だと知っている。」

知ったかぶりをして自分を賢く見せることがある。

受け売りの知識は理解が浅いので、

知らないことがすぐにばれてしまう。

そんな背伸びするより、知らないことを

知らないと素直に白状する方が気楽である。

自分の阿呆さを自覚している人は、

阿呆の上塗りをする失敗を避けることができる。

金融工学で強気の投資を行って最後に破産する。

そんな人間は、勝ち続ける自分が天才と思ってしまう。

負け始めても自分の天才を信じ、損を取り返そうと

ギャンブルにのめり込む。

賢い人間は、自分をギャンブル好きの阿呆と

自覚し、決めた額よりへこんだら退散する。

シェイクスピアに言わせれば、

愚か者と賢者の違いは、自分の欠点がわかるか

否かの差になる。

欠点が引き起こす過ちを繰り返す人か、

繰り返さないように歯止めをかける人か

の違いといってもよい。

事故を起こす人間は、自分だけは大丈夫という

根拠のない自信を、事故を起こすまで抱いている。

事故を免れる人間は、事故につながる自分の欠点を

常に気づかう。

身の程を知る大切さをシェイクスピアは教えてくれる。

身体の95%が水で、脳を持たないクラゲは、

太古の昔から今に至るまで命をつないでいる。

一方、浅はかな知恵を持つ人間が思い上がるとき、

自滅の道をたどるのかもしれない。

 

有無相生

 

 

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