老子小話 VOL 770 (2015.08.15配信)

Never think that war,

no matter how necessary, nor how justified,

is not a crime.

Ernest Hemingway)

 

今日は終戦の日です。

その日にふさわしい言葉は、この言葉以外にない。

いかに必要でも、いかに正当化しようとも、

戦争が犯罪だということを忘れてはいけない。」

従軍記者として、イタリアの戦場で体験した

ヘミングウェイの言葉です。

英語の構文がまたすごい。

間違っても、戦争は犯罪じゃないなんて

思わないでくれと、Never thinkで始まる。

国家が大義名分をこしらえて、

国民を戦場に送り出し、殺人を正当化する。

国の法律には触れないが、相手の生きる権利を

すでに犯している。

国がこしらえた大義名分は、敵には自分に都合よい

言い訳にすぎない。

イラク戦争では、イラクの核兵器開発を阻止する

のが、米国の大義名分だった。

その米国が、イラクで劣化ウラン弾を大量に使用した。

原発の廃棄ウランを武器に利用するものである。

放射能汚染物の廃棄を他国で行うという卑劣な行為だが、

戦争がそれを正当化する。

その放射能でイラクの国民は被爆し、がんに侵される。

戦争に勝利した挙句、核兵器は見つからなかった。

この歴史は、国家は大義名分で戦争を始められ、

大義名分が事実無根でも勝てば許されることを物語る。

歴史は、犯罪の正当化で続いてきた。

戦勝国は大義名分で自国の犯罪を棚に上げて、

敗戦国の犯罪を糾弾する。

苦しむのは、戦場で殺人を犯した兵士であり、

殺された兵士や市民の家族であり、身体を損傷し

あるいは被爆して、心身に戦争を刻まれた国民である。

戦争という犯罪を犯す国家とは、何でしょうか?

国土と国民を支配する権利(統治権)を持つ政治的共同体

のことだとウィキペディアにある。

民主国家なら、国民の総意により国家は形作られる。

従って、戦争を始めるか否かは国民に任される。

憲法第二章に、国際紛争解決手段としての戦争を放棄する

とあるので、日本は戦争をしないと国家が決めている。

鎌倉時代に中国から元の軍隊が二度にわたり来襲して、

幕府は防衛戦争を行って撃退したという歴史がある。

防衛して国民の平和と安全を守るという義務が国家にある。

米国の軍事力の元で防衛する戦略が、集団的自衛権である。

米軍が攻撃されたとき、自衛隊が敵に対抗する局面が、

集団的自衛権の行使である。

敵がいないことを前提にするのは国家の無策であるし、

防衛戦争という犯罪を犯さないように敵を作らないのが

外交の役目である。

経営学の神様ドラッカーは言う。

「戦争は、外交の失敗以外の何物でもない。」

日本の外交のしぶとさが、日本を平和に導くのは間違いない。

 

有無相生

 

 

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