老子小話 VOL 769 (2015.08.08配信)

夫兵者不祥之器、物或悪之

(老子、第31章)

 

それ兵は不祥の器、物あるいはこれをにくむ。

 

あとにも先にも実戦で原爆が使われたのは

同じ日本の広島と長崎の2回。

30万を超える市民の命が、原爆投下から5年以内に

失われている。

非人道的な選択をした米国は核の威力に驚愕し、

自国民にはこの惨劇の実態を隠しつつ、

この脅威を戦争抑止力に利用することを思いつく。

しかし、日本は、2度と繰り返してはならない

この悲劇を人類の遺産として伝承する使命を負う。

日本の悲劇でなく、人類の悲劇として。

そして明日は、長崎原爆投下の日です。

今回は、老子より非戦の言葉をお届けします。

「兵器というのは不吉な道具である。

不吉な道具だから誰もがこれを嫌う。」

なぜ不吉かというと、兵器の威力に魅了され、

人殺しを楽しみにするようになるからである。

核兵器はまさに不吉な道具の最たるもの。

爆発時の破壊力以上に、放射能による遺伝子破壊で

末代の生命にまで悪影響を及ぼす。

さらに米ソから英仏そしてインド・中国と核兵器開発

は伝播し、核兵器がテロ集団にわたる可能性もある。

核兵器の本当の怖さを知らずに、戦略上の駒として

使われる事態になっている。

被爆体験を2回もした日本人が、本当の怖さを

世界市民の感性に訴える活動が世界平和を支える

といっても過言ではない。

老子先生がいう、「不吉な道具だから皆これを憎む」

というのは違っていた。

政治的な取引の道具として使う人間がいて、実際に

2回も使った歴史がある。

そういう政治家は、核攻撃を受ければ、地球全体を

核汚染してまでも、核で倍々返しをする危険もある。

一党独裁の国を除けば、市民の感性に訴えて、危険な

政治家を選ばない民主主義に頼るしかないようである。

それにしても長崎原爆跡が世界遺産でないのが不思議である。

 

有無相生

 

 

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