老子小話 VOL 753 (2015.04.18配信)

智者の慮は必ず利害に雑(まじ)う。

利に雑りて而ち務め信なるべきなり。

害に雑りて而ち患い解くべきなり。

(孫子、九変篇第八)

 

今回は「孫子」からお届けです。

孫子の兵法といえば、最近は漫画でも解説本が

出るくらい、有名になりました。

勝つための技というより、ここぞというときの

心の定め方を教えてくれる知恵だと思います。

どんな物事も、利と害の両面から考えるべき

いう、当たり前のようで実行は難しい教えです。

利益ばかりに目を奪われずに害にも気を配って

始めて、一人前の仕事ができるようになる。

害があるにしても利点をあわせて考えると、

心配も少し軽くなる。

若い女性がダイエットに熱中し、体重は落ちる

メリットはありますが、栄養のバランスが悪く

拒食症に陥るリスクもある。

タバコは肺がんリスクを高める害もあるけれど、

一服するとストレス解消できる利点もある。

結局生きていくことは、利と害を認識しながら、

どちらを選択するかの問題になります。

投資においても、少額の利益に目を奪われ、

多額の投資に発展し、大損する場合があります。

利ばかり続く美味しい話はあるはずもない。

怖いのは、利と害の両面から考える感覚が麻痺し、

妥当な選択が行えなくなるときです。

バブル経済が進行した理由でもあります。

 

有無相生

 

 

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