老子小話 VOL 741 (2015.01.24配信)

言は行を顧み、行は言を顧みる。

(中庸)

 

中国のいにしえの言葉は今も生きている。

「中庸」は、儒教の四書の一つで、社会で共同生活を

営む上での鉄則をまとめています。

中庸とは、右にも左にも傾かず、バランスのとれた

立場を意味します。

鉄則の中で一番大切なのは、忠恕です。

まごころをもって他人を思いやることです。

貧富の違い、地位の違い、民族の違い、宗教の違いを

乗り越えて、平和を実現するには、忠恕で心を通わせる

以外にありません。

今日お届けするのは、言行一致ということなんですが、

実際に実行している以上のことを口でいうのはよくありますが、

実際に発言している以上のことを行ってはいないか反省する

ことも必要だと、「中庸」は戒めます。

先週、日本人の感性が世界平和に役立つ可能性を話した後で、

二邦人の人質事件が発生しました。

今回の事件を見ていて、言葉の大切さを痛感しました。

テロ集団と戦うと発言して、誤解を招いたこと。

実際は、避難民の救済を忠恕の立場で粛々と行う意思表明で

よかったわけです。

言葉が行いを超えて事態を招いたといえます。

人質になった方を見れば、テロ集団によって故郷を追われた

避難民の実態を報じるという言葉を超えて、最危険地域に

潜入した行いは、それなりの責任を伴います。

言行一致の難しさ、言葉が行いを超えていないか、

行いが言葉を超えていないかをいつも顧みなければ、

危険が寄り添うことを今回の事件は教えてくれます。

それでは、今何をすべきか?

日本は中庸の立場から平和を願っていることを世界に訴え、

難民救済を粛々と実行し、人質解放を待つしかありません。

 

有無相生

 

 

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