老子小話 VOL 734 (2014.12.06配信)

人の己を知らざることを患えず、

人を知らざることを患う。

 (論語、為政第二)

 

ひとが陥りがちな過ちについて、

孔子さんは教え諭してくれます。

他人に対して、

「どうして自分をわかってくれないのか」

と気をもむことがある。

いくらアイデアを一生懸命説明しても、

ああだこうだ言ってなかなか取り上げてくれない。

そうなると、他人の理解に求める気持ちが強くなる。

先生ならば、いくら丁寧に教えても、

クラスの成績がちっとも上らない時はそうなるもの。

孔子さんは、相手のことをよく知らないで、

一方的に教えようとするから、そうなるという。

「ひとが自分をわかってくれないことに気をもまずに、

自分がひとを知らないことに気をかけるべきだ」と諭す。

相手の立場を理解して、国政の道を進むのが為政である。

選挙の立候補者なら、知名度はなくとも、国民の窮状を

よく理解して政策を選択すべきである。

ひとを理解させる前に、ひとを理解する準備が必要となる。

円安になれば景気がよくなり、給料が増え消費が増え、

税金収入が増え、国がますます豊かになると目論んだ。

しかし実際は、円安で物価が上昇し、給料が停滞し消費が落ち込む。

「この道しかない」と説く前に、国民の窮状を再点検する姿勢が

欲しかった。

確かに大企業は元気になったが、国民には消費に回せる余裕はない。

何を我慢すれば何が報われるのか、もう少し丁寧な説明があれば

選挙にいく気も起こるのだが。

 

有無相生

 

 

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