◆老子小話 VOL
723 (2014.09.20配信)
感覚は欺かない。判断が欺くのだ。
(ゲーテ)
「ゲーテ格言集」(新潮文庫)の中の一言。
何となくわかるような気がする。
第一印象が大事だとよく言う。
初対面でフィーリングが合えば、
付き合いも結構長続きする。
自分の波長と相手の波長が合っていれば、
多少の価値観の食い違いは無視できる。
しかし、最初から違和感を持ちながら、
合わせていっても、次第に衝突を生じ、
ついには離反することになる。
感覚を超えて合わせるという判断には、
いろんな基準に照らし合わせて総合的に
評価するという作業を伴う。
よく言えば、感覚に左右されない理性的な慎重さである。
しかし理性は、知識(先入観)に基づき対象を見がちで、
知識が誤っていると判断を誤ることになる。
肩書きや評判に惑わされずに、その人が放つ人間性を
どのように自分の感覚が捉えたかが大事だといえる。
「一番美味しい食事は何か?」という問いがある。
答えは、「自分の口に合ったものが一番美味」である。
従って、行列のできる店で美味いと感じなくても
なにも不思議はなく、自分の口に合う店が三ツ星店になる。
有無相生