老子小話 VOL 723 (2014.09.20配信)

感覚は欺かない。判断が欺くのだ。

 (ゲーテ)

 

「ゲーテ格言集」(新潮文庫)の中の一言。

何となくわかるような気がする。

第一印象が大事だとよく言う。

初対面でフィーリングが合えば、

付き合いも結構長続きする。

自分の波長と相手の波長が合っていれば、

多少の価値観の食い違いは無視できる。

しかし、最初から違和感を持ちながら、

合わせていっても、次第に衝突を生じ、

ついには離反することになる。

感覚を超えて合わせるという判断には、

いろんな基準に照らし合わせて総合的に

評価するという作業を伴う。

よく言えば、感覚に左右されない理性的な慎重さである。

しかし理性は、知識(先入観)に基づき対象を見がちで、

知識が誤っていると判断を誤ることになる。

肩書きや評判に惑わされずに、その人が放つ人間性を

どのように自分の感覚が捉えたかが大事だといえる。

「一番美味しい食事は何か?」という問いがある。

答えは、「自分の口に合ったものが一番美味」である。

従って、行列のできる店で美味いと感じなくても

なにも不思議はなく、自分の口に合う店が三ツ星店になる。

 

有無相生

 

 

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