老子小話 VOL 722 (2014.09.13配信)

有大覚、而後知此其大夢也。

 (荘子、斉物論篇)

 

大覚ありて、

しかる後此れその大夢なることを知る

 

夢の中で酒を飲んでいた人が

朝起きて不幸な現実を知ると号泣する。

夢の中で号泣していた人が

朝になると楽しく狩りに出かける。

夢の中ではそれが夢とはわからず、

夢から覚めてそれが夢だと知る。

だれでもそんな経験がある。

人間の脳は、現実とは別に、記憶の中で

別の真実を作りだす力がある。

夢から覚めても、思い込みの世界に居続ければ、

ずっと夢の世界にとどまるのと同じである。

荘子さんは、大覚(大いなる目覚め)があって、

それが夢から現実の世界に引き戻してくれるという。

最終的かつ決定的な目覚めは、自らの死でしょうが、

目覚めは、いつどんなきっかけで起こるかわからない。

ただ、その機会を見失わないようにするのが

人生を夢のままで終わらせない方法なのでしょう。

目覚めの機会は心がけ次第で訪れるのですから。

 

有無相生

 

 

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