◆老子小話 VOL
722 (2014.09.13配信)
有大覚、而後知此其大夢也。
(荘子、斉物論篇)
大覚ありて、
しかる後此れその大夢なることを知る
夢の中で酒を飲んでいた人が
朝起きて不幸な現実を知ると号泣する。
夢の中で号泣していた人が
朝になると楽しく狩りに出かける。
夢の中ではそれが夢とはわからず、
夢から覚めてそれが夢だと知る。
だれでもそんな経験がある。
人間の脳は、現実とは別に、記憶の中で
別の真実を作りだす力がある。
夢から覚めても、思い込みの世界に居続ければ、
ずっと夢の世界にとどまるのと同じである。
荘子さんは、大覚(大いなる目覚め)があって、
それが夢から現実の世界に引き戻してくれるという。
最終的かつ決定的な目覚めは、自らの死でしょうが、
目覚めは、いつどんなきっかけで起こるかわからない。
ただ、その機会を見失わないようにするのが
人生を夢のままで終わらせない方法なのでしょう。
目覚めの機会は心がけ次第で訪れるのですから。
有無相生