老子小話 VOL 720 (2014.08.30配信)

貧乏に 追いつかれけり けさの秋

 (与謝蕪村)

 

春に消費税が増税され、この夏の景気回復も

ままならないニュースを聞きます。

個人的には、定年後収入が激減し更に増税で

家計は赤字続きですが、支出を極力抑え、

日々何とか耐え凌いでおります。

蕪村のこの句に苦笑いです。

夏の間はまだ貧乏が身にしみませんが、

今朝のように肌寒い朝を迎えると、

薄着の自分だけは貧乏のままという

取り残された気持ちが湧いてきます。

この気持ちが「貧乏に追いつかれた感」なのかと

身にしみます。

蕪村だって俳諧師と画家で生計を立てるのは苦しく、

支援者にすがりつき、前払いで仕事をもらう始末でした。

金策の書状が、書簡集に残っているくらいです。

「けさの秋」でしめるのが憎いですね。

季節の変化を感じ始めると、冬に向けての準備が

気になります。寒さを凌ぐための備えとして、

暖をとれる着物、火鉢に入れる炭などを買うお金

をどのように調達すればよいか苦慮するはずです。

そのタイミングが、秋を感じ始めたけさなんです。

この気持ちは今も同じじゃないでしょうか。

来年には消費税を10%に上げるそうですが、

そのときには食料品は非課税にして、生活に苦しい

人々の食を救済して欲しいものです。

衣も住も耐え凌げますが、食は生の根源なので

非課税は欠かせません。

イギリス、オーストラリアなどの他国ができて、

日本ができないはずはない。

できないとすれば政治の怠慢になるでしょう。

 

有無相生

 

 

戻る