老子小話 VOL 713 (2014.07.12配信)

危者、安其位者也。

亡者、保其存者也。

 (易、繋辞下伝)

 

危うき者は、其の位に安んずる者なり。

亡ぶる者は、その存を保つ者なり。

 

先週の陰陽から話を進め、今週は「易」より

お言葉を頂戴します。

「一陰一陽これ道と謂う」と易にあります。

陰と陽の循環が自然の道ということで、

その言葉を受けて、上の教えが生まれます。

地位が危うくなるのは、その地位に安心しきっているから。

亡びるのは、その地位にしがみつくから。

陰陽の考えで言えば、陽(ひなた)にいる人が、

いつまでも陽が続くと安心していると、

形勢が逆転して、危機に陥ることになる。

危機を超えて亡びてしまう人は、形成はすでに陰なのに、

陽であることを保つ人のことを言う。

世の中を見ると、陽と陰の変化を受け入れられず、

結果として、その地位を失う人が多いことがわかる。

人だけでなく会社も同じこと。

デジカメが進み、フィルム事業から化粧品や医療事業に

変身して生き残った会社もあるので、陰のリスクを陽に

転じるチャンスもまたあるわけです。

安倍首相は、病気で辞任して陰(どん底)に落ちましたが、

今は昔以上の活躍をしています。

病気のときは地位にこだわらず辞任するのも、

陽(再起)への転換の一手になるでしょう。

そのまま公務を続けていたら、命を落としたかもしれません。

このように、世の陰陽の波に乗り、自分の陰陽を同調させるのが、

自然に一番合った生き方といえるのでしょう。

 

有無相生

 

 

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