老子小話 VOL 703 (2014.05.03配信)

信言不美、美言不信。

 (老子、第81章)

 

久方ぶりの老子です。

老子は81章からなる教えで、

その最終章の言葉をお届けします。

「信言は美ならず、美言は信ならず。」

いろんな場面でこの教えが身につまされます。

いまだに耳にする儲け話にだまされる事件の多いこと。

お金を預けておけば、法外な利息が得られるという

話は美言(甘い言葉)です。

それが本当なら、他人に言わずに

自分がせっせともうけるはずと誰でも気づくはず。

会社の社長にはいい知らせしか入らない。

取巻き連中は出世のため、経営を誉めそやす。

部下は失敗を報告せず、成功を報告する。

組織のトップに立つひとの周りは美言だらけ。

おかげで内情を察知するのが遅れ、経営が傾く。

品質の欠陥は内部告発で明らかになり、

トップは謝罪会見で「知らなかった」と頭を下げる。

美味しい話には気をつけ、耳が痛い苦い話には耳を貸す。

ものごとを長所短所の両面から述べて、

実像を明らかにするのが、親切なもの言いです。

他人の短所は目につき、自分の短所は目につかない。

短所をずばっと言ってくれるひとはありがたいし、

自分の短所で暗くなっているひとは長所に気づき元気になる。

セールスマンは、自社製品の短所についても説明できなければ

一流ではありません。

ものごとを両面から見る力を老子は大事にします。

 

有無相生

 

 

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