老子小話 VOL 686 (2014.01.04配信)

持して之を盈たすは、

其の已むるに如かず。

(老子、第九章)

 

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

この春に消費税が増税されますが、

慌てて両手一杯にものを買うより、

必要最小限のものにとどめる方が賢いという

教えでしょうか。

老子は、

「器を水で満杯にして持つほど愚かなことはない。」

という。

その器を持って歩けば、振動で水はこぼれる。

速く歩くほど、水は沢山こぼれる。

水をこぼさないように歩こうとすると歩みは遅くなる。

水に気をとられ、つまずいたり、もっと大切なものを得る

機会を失ったりする。

満杯にして保持するより、ほどほどに満たして

不意の事態に即応できるように身軽にしておく。

量子力学的にいうと、励起状態を空にしておくから、

エネルギーをもらえば基底状態からすぐ遷移できます。

その反対に励起状態がすべて満たされていると、

なかなか励起状態に遷移できません。

励起状態とは、心の束縛から解放されたより自由な精神です。

老子が量子力学を知っていたかはわかりませんが、

老子には、エネルギーの流れが感覚的に表現されています。

月の満ち欠けを見ても、満月の期間は短いが、

欠けている月は長い間見ることができる。

満たされない部分が常に変化の余地になっている。

無の用は自然界に満ちており、

死の用は生を支えています。

 

有無相生

 

 

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