老子小話 VOL 683 (2013.12.14配信)

ともかくもあなたまかせの年の暮れ

(小林一茶)

 

テレビ番組でこの一茶の句に出会いました。

最近同じ年代の知人が急逝しショックを

受けていたので、一茶さんの一言が身にしみました。

いつまでもあると思うなこの命

となると川柳になってしまいますが、

年の暮れになるとこの一年を総決算したくなるのが人情です。

忘年会は、いやなこともうれしかったことも忘れて

新たな年を迎えようという祖先の知恵なのかもしれません。

一茶さんも年末にその年を振り返ったのでしょう。

「この一年はずうっとあなたまかせの一年だったなあ。」

という声が聞こえてきます。

あなたというのは仏さんのことですが、道ともいえます。

人生の岐路でいろいろ悩んでみても、最後のところは

おまかせするしかない。

おまかせすることは、そのあと何がおきても納得がいきます。

仏さんのしたことだから、悔いることはない。

ひとの命も考えてみれば、いつ消えるかわからない露のようなもの。

だから露どうしが我をはらずに助け合って生きていかねば、

この世は成り立たない。

あなたまかせは他人任せじゃないといいますが、

他人の中に仏を見れば、仏さんにおまかせするのと同じです。

「露の世は露の世ながらさりながら」

露のように消えるにしても、生きている限りは、

けなげにおまかせしたい。

「ともかくも」と「さりながら」にそんな気持ちが読めます。

 

有無相生

 

 

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