老子小話 VOL 680 (2013.11.23配信)

道無終始、物有死生。

(荘子、秋水篇)

 

道は終始なく、物に死生あり。

 

今回も荘子先生のお言葉です。

自然は果てしなき変化の流れであり、

その流れの中で生成消滅する物は

有限の存在であるといいます。

平家物語の「諸行無常」や、

方丈記の「淀みに浮ぶうたかた」と同じ趣きです。

「消息盈虚して、終われば則ちまた始まる」

どこかで誰かが死ぬとどこかで誰かが生まれる。

自然の中の登場人物は次々と変わっていくが、

家族、民族、人類が地上で行き続けることは変わらない。

その不変をつないでいるのが日々の営みである。

若いときから老荘を生きる糧としてきましたが、

その言葉を味わえるのは世の中の変化を長く経験した今で、

荘子の言葉は実感をもって胸に響きます。

自分がどう生きたって世の中変わらないと

思っていたのが若いときで、

どんなささいな日常でもその積み重ねが、

道をつないでいると実感できるのが今です。

世の中の枠組みも道のひとつです。

道は人間世界を取巻く自然も含みます。

環境破壊は、人間が自然に対し恩を仇で返すおごりです。

小泉さんの説く原発ゼロは、決して無責任な発言ではありません。

未来へ道をつなぐ一大チャレンジをしようという宣言です。

 

有無相生

 

 

戻る