◆老子小話 VOL
679 (2013.11.16配信)
愛民、害民之始也。
(荘子、徐無鬼篇)
民を愛するは、
民を害(そこな)うの始めなり。
荘子先生は、いつも耳の痛い言葉を発します。
国民を愛すると演説する政治家ほど、
国民を害する者はありません。
ヒットラーしかり、ブッシュしかり。
意識した仁愛は憎悪と表裏一体をなします。
ユダヤ民族への憎悪、テロへの憎悪を
国民の心にあおり立て、国を戦争に導いた。
道義を立てて戦争を止める平和の主張は
かえって戦争を大きくする。
歴史が荘子の言葉を裏付けています。
愛は行動の動機にしてはいけません。
行動しているときは気づきませんが、
行動したあと振り返ると、
あれが愛だったのかも知れないと思うのが
本当の愛ということになります。
無償の愛というけれど、見返りを望む人為的な愛は
かえって相手を傷つける。
思わずふと行動したあとに愛を感じられれば、
それが無為自然の愛だといえます。
そんな愛を荘子は大切にします。
有無相生