老子小話 VOL 678 (2013.11.09配信)

羊頭を懸げて狗肉を売る

(無門関)

 

店先に羊の頭を吊るしておきながら、

売り物は実は犬の肉であるという意味です。

芝海老のチリソース煮といいながら、

ブラックタイガーの海老を使う。

和風ステーキといいながら、油脂注入の豪州牛を使う。

今や日本中が虚偽表示で真っ盛りです。

人間のやることは今も昔も変わらない。

安ければ表示が多少偽りでも大目に見てくれるだろう。

そんな気持ちが謝罪会見には見受けられます。

消費者の悲しさは、羊肉と狗肉の違いがわからないこと。

芝海老とブラックタイガーの違い、

伊勢海老とロブスターの違いがわかりますか?

ぷりぷりの海老ならどれでも同じという人なら

表示なんか気になりません。

問題なのは、安い海老を虚偽表示で安く売ることに

罪の意識を感じないことです。

デフレのときには、いかにして買わせるかに注目し、

安物に高価な商品名をつけて売ってきた。

その名残が、今の「虚偽表示」でしょう。

買う側は、おのれの舌を養うことが問われます。

悲しい事態は、表示でもって美味しいと感じることです。

「秋の暮 芝海老に化ける バナメイかな」(有無)

 

有無相生

 

 

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