◆老子小話 VOL
675 (2013.10.19配信)
大道廃、有仁義。
智恵出、有大僞。
(老子、第十八章)
大道廃れて、仁義有り。
知恵出でて、大偽有あり。
マルクスから老子に戻りました。
共産主義の中国は、経済的発展のために資本主義を容認し、
その結果、資本家と労働者の格差が大きくなり、
拝金主義が横行し、人同士のつながりが薄れ、
人心が乱れてきました。
そこで、かつて排撃した儒教やキリスト教を利用して、
人心の疲弊を救済する政策を取るようになりました。
つい最近のNHK番組でそのことが取り上げられた。
子が親の足を洗って目上の人を敬う儀式がルポされました。
まさに老子がいう大道が廃れた世の中だから、
礼や義や仁が尊ばれるようになる。
儲け話の知恵がついてくると人を欺いてもカネを得ようとする。
共産主義も人口が多くなると、格差に喘ぐ不満分子を抑えるため、
いろんな妥協や国外の標的作りが必要になります。
共産党がかろうじて国を統制して自国を一流国に導く過程には
涙ぐましいものがある。
大国中国が一流国になるには、共産党の独裁体制を取らずに、
考えの多様性を認め、民主主義が定着する時だと思います。
大国が大国の器量を持ちえるのは、小国の気持ちをよく理解できる場合です。
「大国を治むるは、小鮮を烹(に)るが如し」(老子第六十章)
小魚を煮るように、小国の内政に干渉したりせず、
小国が自主的に動けるように支えることが大国の証だと老子も教えます。
有無相生