老子小話 VOL 674 (2013.10.12配信)

かれらが何であるかは、かれらの生産と、

すなわち、かれらが何を生産し、

またいかに生産するかということと

一致する。

(カール・マルクス、「ドイツ・イデオロギー」)

 

「若者よ、マルクスを読もう」(角川文庫)で

内田樹先生が紹介されました。

若者じゃありませんが、読んでみると

まじめにしかも視点を明確に説明しているので、

意外に面白く第二巻を楽しみにしています。

人間は何ものであるかは、何を生産したかで決まる。

会社で言えば、偉そうにしている上役であっても、

訓示を垂れるだけで何も生産していなければ、

給料泥棒になる。

動機が不純でも、生産したもので評価される。

人類の歴史は、生産したもので形作られる。

優秀な武器をもつ部族が勝ち残り、

船と航海術で世界に乗り出した国が植民地で国力を高めた。

しかし現代は、電車でスマホに熱中しているひとを見ると、

生産ではなく消費によって、何ものかが決まるようです。

文明の利器で生産するか消費するかはあなた次第で、

生産したもので、あなたの歴史は作られる。

そう考えると、自分なりにひとや社会に役立つことを生産して、

ささやかながらも自分の歴史を体感するのも悪くないと

思えませんか。

マルクスの言葉は、時間の消費に苦慮する現代人に、

生産に時間をあてることで生きがいを獲得する勇気を

与えてくれます。

 

有無相生

 

 

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