老子小話 VOL 671 (2013.09.21配信)

たえず変化してやまない水平線を

わが物にしているほど大きな喜びはありません。

毎日、あたらしいべつの太陽を

自分のものにできるのです。

(ジョン・クラカワー、「荒野へ」)

 

「荒野へ」は、ショーン・ペン監督の映画 “Into the Wild”

の原作で、小生は、映画で関心を持ち読んでいます。

アラスカの荒野で餓死した青年の夢を追い求める物語です。

十分な準備もせずに大自然の中で自分の限界に挑んだ姿勢は

未熟で無謀ともいえますが、変化の中に自分を追い込み、

その変化に対応する自分をながめ、再生を実感するという

姿勢は、人生において欠かせないと思います。

安定した毎日の生活ほど、冒険心に有害なものはない。

そこから一歩踏み出して、不安定な自然に身を置き、

自らの対応力を試して行く。

自分を磨くとは、変化に身を置き、変化に対応できる

自分の生命力を養うことではないでしょうか。

老子の教えからも同じような結論に行き着きます。

必死の思いで地位を獲得した者は安定志向です。

従って、一度世の中に大きな変化があると、

どのように対応したらよいかわかりません。

過去の知識や情報にすがります。

老子は、知識に頼らず、頭を空っぽにして

変化する自然の中に生きるヒントを見出せという。

それが対応力であり生命力という。

荒野に踏み込んだ青年の言葉は感銘を与えますが、

惜しむらくは生きて帰ってきて欲しかった。

限界を超えると、戻ることを許さない自然が

そこに待ちうけるからです。

 

有無相生

 

 

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