老子小話 VOL 660 (2013.07.06配信)

宇宙無双日、乾坤只一人

(五燈会元)

 

宇宙に双日なく 乾坤(けんこん)ただいちにん。

 

今回は、「禅林句集」(岩波文庫)から選びました。

「宇宙に太陽はふたつとない。

同様に、天地に自分という人間は

ただ一人しかいない。」

生まれ変わって人生やり直したいという人は

多々居られましょうが、生まれてしまった以上、

一度限りの人生を大切に生きようと呼びかける。

地球に生命が誕生した経緯はわかりませんが、

太陽が誕生して、地球に海が生まれ、

海に生命が生まれ、生命が進化して

人類に至ったのは確かなようです。

すべての偶然が重なり人間が生まれ、

その誕生以来何番目かの人間が自分である。

二つとない太陽が人類に恵みを施すように

二人といない自分もまたできる限りの

恵みを人類に、そして自然に恩返しできる。

太陽の一生と個人の一生は、

時間のスケールは桁違いだが、

この世に施す恵みに大小の違いはない。

すべてが今を支えている。

小さな自分であってもただ一人しかおらず、

自分にしかできない恵みがこの世を形作る。

自分を失いかけたときに勇気を与える言葉である。

 

有無相生

 

 

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