老子小話 VOL 659 (2013.06.29配信)

まったく、現実ほど、

非現実的なものはない。

(安部公房、「飢餓同盟」)

 

地熱発電所でユートピア社会を実現しようとする

人間たちのドラマの最後の言葉です。

原発の夢が砕かれクリーンエネルギーに

未来を見出そうとする日本への

メッセージに思えました。

原爆を落とされ放射能の恐ろしさを

あれほど知りながら、右肩上がりの時代の

国策で安価な核エネルギー利用に舵を切る。

太陽の光は核エネルギーの産物で、

自然という核エネルギーの恩恵のもとで

そもそも人類は生きている。

核に汚染された水さえ処分に手に余している。

汚いものは水に流すのが現実だが

放射能は水で海に流せない。

ありえない事が現実に起こりえる。

いまやスマホを握り歩く人が多い。

そしてそのままホームから落ちたり、

電車にぶつかったり階段から落ちたりする。

危険に対し無防備になるほど、人間は狂気の虜となる。

警察がストーカーに、女性の住所を教える。

公務員が勤務中にツイッターでぼやく。

このように現実はありえないことでいっぱいです。

狂気から目を覚ますには、文明の利器を離れ、

自然の仕組みに目を向け、その恩恵を

体感する以外に在りません。

 

有無相生

 

 

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