老子小話 VOL 655 (2013.06.01配信)

斯う活きて 居るも不思議ぞ 花の陰

(小林一茶、七番日記)

 

一茶の、「陰に行きながらも、よくぞここまで

生きてこられた」という感慨の句である。

老子ならば、陰に生きたからこそ長生きできた

というであろう。

人間生まれて最初から陰にいきようと思う人は

まれかもしれない。

結果として陰になってしまっても、へこたれず

凌ぐ技を見つけて、かろうじて凌げた結果が

長生きということなのだろう。

運不運を嘆いてみても始まらない。

一茶も、陰に生きて、陰にいないと見えない、

自然の美しさを捉えることができた。

「はまぐりのごみを吐かする月よかな」

はまぐりになった気分で月の美しさに

見とれる余り、身のうちの芥まで

洗われてしまった。

発行人は現在、孫娘の誕生をじっと待っており

気ぜわしい状態がつづいている。

どんな子に成長するか楽しみだが、

しぶとく生きるワイルドな子になってほしい

と考える。

「しぶとく生きる」とは、身の程を知り、

他人の知恵と助けに頼りながら、

世界と今を共有する老荘的な生き方である。

「よくぞここまで生きられた」という言葉には、

いままで支えてくれた世界への感謝が現れている。

 

有無相生

 

 

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