◆老子小話 VOL
650 (2013.04.27配信)
礼儀作法とかマナーとかいうものは、
知っていてもそれを行わないところに
妙諦がある。
(山口瞳、「礼儀作法入門」)
礼儀とかマナーに自信がないので、
紐解くことにした。
なかなか面白い本(新潮文庫)である。
めんどくさいマナーを説教されるかと思いきや、
「美しいことが正しいことである」
と結論をずばっと言ってくれる。
更に、マナーに通じていて常に実行する人は
いやみたらしく、知っていてもあるときは
それを行わないところに、個性や人柄が出ると
まで言ってくれる。
そもそもマナーの発祥は、ひとびとの所作の中で
美しい所作と普遍的に評価を受けた所作が
淘汰され残ったものといえる。
マナーに囚われるといやみになるが、
マナーが板につくと、それを崩す独自のマナーで
一期一会を楽しむことができる。
これが山口瞳氏のマナー入門で学んだことである。
肩肘はらずに、何が美しく見えるかで動いていれば、
自然とマナーが身につく。
なぜか救われた気分にさせてくれる本である。
有無相生