老子小話 VOL 649 (2013.04.20配信)

人間には光の部分と闇の部分があり、

空高く飛翔するときもあれば、

泥の中をはいずりまわることもある。

その両方がないと生きて行けない

のではないかと思う。

(土屋賢二、「不要家族」)

 

土屋賢二氏の本を始めて読んだ。

冒頭に、名言を作らず頭に残らない内容なので、

いつも新鮮に読めるとある。

今回の言葉は、氏の最近の文庫本から、

小生の頭に残った言葉をお届けします。

頭に残る名言とは、普段感じていることを

言い換えて表現しているものだと思います。

「水清ければ魚棲まず」というように、

清廉潔白な人は親しまれず孤立するようです。

光の部分だけが目立ち、闇が隠れていると

人々は胡散臭さを感じるものです。

最近出所されたほりえもん氏はまさに

大きな光と大きな闇の両方を体現されているので、

人間的な魅力はいよいよ増す感があります。

何不自由なく暮らしているのはむしろ退屈で、

危機から脱しようと必死にもがいている方に

生きがいを感じるのが人間のようです。

プロ登山家の竹内洋岳氏は

「恐怖心と想像力が極限での武器になる」と語る。

恐怖心と戦いながら、経験に頼らず想像力を発揮し

ルートを選択する所に登山の魅力はあるようです。

光を見たいために闇に向かうわけですが、

乗り越えた先の光に魅力を感じるよりも、

闇にもがく姿に魅力があるようです。

飛翔できるかは別にして、まあ誰しも、

生きていることがすでに光と闇の連続ですが。

 

有無相生

 

 

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