◆老子小話 VOL
640 (2013.02.16配信)
持して之を盈たすは、
其の已むるに如かず。
(老子、第九章)
ロシアで隕石が落ちたニュースは
いま生きていることが偶然の幸せで
あることを思い知らされます。
宇宙に流れる無限の流星の中で、
地球に衝突するのものが少なかったのは
巡り合わせに過ぎません。
恐竜が隕石衝突によるちりで太陽を覆われ
食べ物がなくなって絶滅したとすれば、
そのような大きな衝突が今後ないともいえません。
今回の老子の言葉は、
「いつまでも器をいっぱいにしようと
満たし続けるのは、止めたほうがよい。」
という訓えです。
どうしてでしょうか。
物事は空きがあるから前に進むという真実です。
流動性は、空いている空間をあるから生まれます。
記憶は、忘れるから新たな情報を更新できます。
おなかは、いっぱいにしていると体の動きが鈍ります。
スケジュールを仕事でいっぱいにすると、
仕事の幅は広がりません。
財産は貯金だけでは増えず、投資に回して増え始めます。
心は、あることに執着すると堂々巡りし、
空っぽにすると先が見えてきます。
隕石の衝突は、人間が危うい宇宙の中で身を寄せ合って
暮らしている現実に気づかせます。
自然からのメッセージは老子の言葉に符合するようです。
有無相生