老子小話 VOL 632 (2012.12.22配信)

人と交わるや、

人しばしば、その長所を喜ばず、

その短所を喜ぶものと、心得るべし。

(織田作之助、猿飛佐助)

 

大阪を舞台にした小説を多く書いた

織田作之助氏の作品集を読んでいて

電車の中で噴出しそうになりました。

次から次へと駄洒落が飛び交うので

通勤の疲れが吹き飛びます。

上の言葉は、甲賀流忍術を佐助に授けた

白雲斎師匠の言葉です。

佐助はアバタの顔という短所をもつ一方、

忍術を使いこなせるという長所をもつ。

長所があるから短所になるわけで、

短所だけではひとは卑屈になる。

卑屈になるとひとから遠ざかる。

ひとと交わるには、自分の短所を気にせず、

長所をおもてに出してつきあうようにする。

でも相手のひとは、自分の長所よりも

自分の短所を喜ぶものと覚悟しておいたほうがよい。

卑屈になれというのではなく、

長所にうぬぼれず、短所にこだわるなと訓える。

短所があれば長所もあり、長所があれば短所もある。

完璧に見える人間は危ういことになる。

 

有無相生

 

 

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