老子小話 VOL 625 (2012.11.03配信)

自立は依存によって裏づけられている。

(河合隼雄、こころの処方箋)

 

こころとこころの対話を仕事にされた

河合先生のお話は大変ユニークである。

なぜか引き込まれる話のうまさがある。

自立が叫ばれる昨今である。

家にいつまでもいる息子娘に

早く自立して生活基盤を築けという。

日米安保依存から脱却して、

防衛の自立を図れという。

しかし、自立は相互依存に支えられるという。

依存を無視すれば自立できずに孤立するという。

欧米の家庭では、家族が自立しているが

日本の家族より親密に顔を合わすという。

感謝祭の休日には実家にもどり平安に感謝する。

互いの依存関係の上に今の自立が成り立っている。

そういう自覚を確かめ合い互いに感謝する。

親が子供を自立させようと一人寝させ、

子供も親の期待に応え辛抱した結果、

言葉の障害に現れるケースがある。

自然界は、食物連鎖という依存の連鎖で成り立つ。

人間は知恵を身につけ、権力を身につけると、

他人や他国に依存しなくても生きられると過信する。

その過信が孤立を招き、紛争や戦争につながっていく。

成長は他者への依存に支えられると自覚することは、

その人(国)の将来を決定付けるといえる。

当たり前の話だが、その基本がなかなかできていない。

 

有無相生

 

 

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